小夜曲~本と日々の暮らし

私に・・・あったこと、思ったこと、これからのこと。

和恵さん・・・

昨夜メールをチェックしたら
珍しく和恵さんからメールが来ていた。
和恵さんは長年私の活動を応援してくれて来た。
父のいとこだ。


その和恵さんから、写真が送られたみたいだが、見ることができない・・
このメールは本当のメールかしら、とちょっと疑った。


8時半だったので、まだいいかな、と、和恵さんに電話した。
出なかった・・・
しばらくしたら向こうからかかってきた。
声が変だ。
「和恵さん、わたしに写真送った?」
送った、と言う。
そして、和恵さんの状況が分かった。
肺気腫で入院中、という。
写真が一枚だけあったので、わたしに食て欲しいと送った・・・
体重が29キロになったという。
2日前まで10人部屋だったが、個室に変わったのでしゃべれる、と興奮している。
なんと・・・・
声の出ない和恵さんは、次から次へと話をする。
言いたいことが胸の中にいっぱい詰まっていたかのようだ。
同じことを思い出し、
別の昔を思い出し、
亡くなった兄弟のこと、
娘と孫のこと、
そして、
食べられないことを切々と語る。
「水を一口飲むのも時間がかかるのに、看護師は邪魔くさいのよ。」
そうなのだ、仁のある看護師とお目にかかるのは奇跡だ。
「忙しすぎるんや」
そして、自分もそうであった、と反省する和恵さん。
彼女は、看護婦長として長年医療現場で頑張ってきた人だ。
7人の兄弟の6番目に生まれ、上の兄、姉たちの最期を介護し看取ってきた人だ。
「私は兄弟のお世話するために看護師になったんや」
とも言っていた。
いつも立派やなぁ、と思ってきた。
「私は今まで何をしてきたんやろと思う。なんにもしてへん。
 これから何かせんといかんと思うのやけど、なにをどうしたらええのか・・・」
と、自分の人生が失敗であったと嘆く。
え、え、え、和恵さん、立派な人生やったよ!ときっぱり伝える。
しかし、和恵さんは悔いている。
患者さんにできなかったこと、兄弟にできなかったこと、
自分の人生でやれなかったこと・・・
寝たきりの身体と、咳と痰、筋肉の衰えと、手足の冷え、息が出来ない、
飲み込めない、声が出ない・・・
なのに、和恵さんは、どんどん話す。


自分の人生を振り返り、心に浮かんだことをどんどん話す。
私は、ひたすら聞く。
「まだ、ええ?」と何度も聞く。
「うん、大丈夫やで」
11時まで2時間!
2時間一人で話した。


人には自分の話を聞いてくれる人が必要なのだ。
娘のたくみさんの連絡先をメールすると言っていたが、いまだにメールは来ない。


0時6分に、孫に
「ばあちゃん、がんばってる、とメールしたら、すぐに、
「がんばれよぉ」と返事が来たんよ!うれしかった!」
良かったね、和恵さん、夜中にメールして返事くれる人がいて。
11月で83才になるという。
和恵さんが生かされている今、まだまだたくさんの時間が許されているのだ。
きっと和恵さんは高みに行く人だと思う!


紫の花・・・

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