小夜曲~本と日々の暮らし

私に・・・あったこと、思ったこと、これからのこと。

277高野誠鮮「ローマ法王に米を食べさせた男」&多田野語録2105「命いっぱいに生きる」

これが高野さんが書いた初めての本。
特急に乗っているように一気に読ませる勢いがある。
これがのちにTVになった。
痛快な本。楽しくなる本。
高野さんは明るい!

★晴れ
 朝、ラジオ体操に行こうと思ったら、夫がトイレに。
 今は夫優先。お風呂も入るというので、朝6時半に朝風呂~。
 さっぱりしたね、よかったね。


 今月も多田野さんからお便りが来ました。


 多田野弘2015「命いっぱいに生きる」


「今回のテーマ「命いっぱいに生きる」とは、命のある限り
 精いっぱいを尽くして生きよと言っている。
 それを妨げているのが死への恐怖ではないだろうか。
 命いっぱい生きるには、死を怖がったり、忌み嫌うことなく、
 死を思い見つめて生きることが大切である。


  V・E・フランクルも著書“生きる意味を求めて”の中で、
 死はすべての人間に必ず訪れるものである。しかし、死がいつか来るものと
 思っている限り、人間は「自然に殺される存在」となる。
 その、もっと生きたいのに殺されるという気持ちがある限り、
 死は不安の種であり、そこから逃れることをできない。
 その不安を脱するには、殺されるという気持ちを乗り越えなければならないと
 述べている。
  
  私が南方の戦場で、「ここが俺の死に場所だ!この戦いで死ななきゃ死ぬときはない」
 と、死を決意した瞬間、死ぬも生きるも気にならなくなった。 
 もう怖いものは何もない、解放された自由な気持ちになったのを忘れることができない。
 死を待つのではなく、積極的に受け入れたからこそ得られた心境である。
 捨てなけれが得られない。


  戦場で毎日、死の恐怖に曝されたおかげで、死は当然の出来事であり、死なずにいる
 のは不自然だと思うようになっていた。
 いつでも死寝るという気持ちだったから、弾降る中を平気で行動することができた。
 そうした体験は戦後の私の人生に影響せずにはいなかった。


  繊細な心の動きや微妙な感じに疎いK・Y人間になり、他を少しも気にせずに、
 人が考えないことを実行に移して得意になっていた。
 それらは、マイナス面があったかもしれないが、総じて思いもよらぬプラスを得たのは
 間違いない。
 したがって私の行動は、群れに交わることを好まず、孤独を良しとするようになった。
 冠婚葬祭はすべて欠席するので、不人情のそしりを免れないのは計算済みである。
 しかし、気心の知れた友数人との交流は何十年も続いているから、まんざら捨てた
 ものでもない。


  私は、戦後も多くの先哲の書から、死に対する思索を深めてきた。
 ソクラテスは、
 「だれ一人死を経験した者はいない。死は人間にとって、
 あらゆるよいものの中の最大のよいものではないか、ということさえ知らないのに、
 人々はあたかもそれが最大の悪いことであると、よく知っているかのように
 恐れるからです」 と語っている。
 また、ギリシャの哲人エピクロスは、
 「生きている内は、死はやってこない。死ぬときには、人は生きていない」
 と述べている。
 人が死ぬときには既に意識がなくなっているから、自分の死と対面することができない。
 つまり、自分がいつ死んだかを知ることができない。
 生きていると思っていたが、いつのまにか死んでいるのである。
 それは丁度、私たちが眠りに入ったとき、自分がいつ眠ったかを知ることが
 できないのと同じだと言っている。


  死は誰も経験できないことである。
 私はかつて仮死状態になったことがあり、エピクロスの言を証明することができる。
 昭和20年3月21日、宮崎航空基地の滑走路の脇にいた私は、突然強烈な風圧を受けて
 倒れ、意識を失った。
 150キロ先の別府海軍病院に着いて初めて、自分が負傷して運ばれたのを知った。
 両眼が見えなくなっており、腕にも傷をしているのに気がついた。
 倒れてから3時間余、意識を失っていたのである。
 もし意識が戻らなかったら、私は戦死者名簿に載せられていただろう。
 この体験で、私は、死は安らかなものであることを垣間見ることができた。
 2か月後眼がみえるようになり、原隊に復帰した。


  死は少しもおそれるものではないのが分かってもらえただろうか。
 そうか、死の不安を払拭し、必ず訪れる死を自覚し、“生”を考えて命いっぱいに
 生きてほしい。」 多田野弘2021年5月10日


 多田野さんは、百歳。見事な人生。すごい人と出会ったものだといつも感謝している。


 純粋を感じる白いバラ・・・

ほら、ここにも花が・・・風に揺れてる・・・

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