10 高村光太郎「智恵子抄」& 葡萄が届く
母と本やへ行き、自分で選んだ。
12才のあの日から、ずっと私のそばにある。
久々に開いた。
〇のついている詩がたくさんあった。
『深夜の雪』
「・・・「これみや、もうこんなに積もったぜ」
と、にじんだ声が遠くに聞こえ
やがてぽんぽんと下駄の歯をはたく音
あとはだんまりの夜も十一時となれば
話の種さえ切れ
紅茶もものうく
ただ二人手をとって
声の無いこの世の中の深い心に耳を傾け
流れわたる時間の姿をみつめ
ほんのり汗ばんだ青は安らかさに満ちて
ありとある人の感情をも容易くうけいれようとする
・・・」
ここの部分は
今読み返して、やっぱり好き。
★羽咋に不思議な不思議なひとがいる。
今、葡萄のお礼で電話して、久しぶりに長話。
人の分け隔てなく、命あるものに優しいひと。丁寧な人。清潔な人。
2006年10月30日、羽咋で『賢女の手習い並びに新暦』の初日前日、
ふと「香を焚きたい」と思った。
曰く因縁のある芝居なので、場を清浄にしたかった。
「どこかにお香売ってるところないかしら?」
「あるわよ」と乙部さん。
宿のすぐ近くのぶつだん店が、知人という。こんなことってある?
「こんばんわ~♪」とソプラノでお見えになったのが、宮本光子さん。
伽羅をプレゼントという!
次の日、妙成寺さまで、開演前に光子さんが香を焚いてくださり、芝居を始めた。
以来14年、
どれほど語り合っただろう。
光子さんは変わらない。
びっくりするような状況が彼女に次々とふりかかり、
それらの雨雲はみな「そうなるようになっていた」としか思えないような
虹となって晴れる。
光子さん曰く、「ただ毎日、今日やることをメモして、一つ一つやっているだけです」
「幸も不幸もありません。考え方があるだけです」だれが言ったっけ・・・